0から始める著作権

  このブログでは著作権について解説していきます。

著作権の種類には何があるのか(8)

前回は同一性保持権の話をしました。著作物の内容やタイトルが著作者の許可なしに他人が勝手に変えられないという権利でしたね。

この同一性保持権も他人に譲渡できるのでしょうか。

実は、著作権法は、同一性保持権は他人に譲渡できないと定めています。このことはとても重要です。

もし同一性保持権が著作者から他人に譲渡できてしまうと、この同一性保持権という権利の意義が失われてしまいます。何故なら、同一性保持権が著作者の手を離れてしまい、著作物について著作者のコントロールが効かなくなり、著作物がどんどんつくり変えられていくからです。

 

著作物を創作したのは著作者です。もし同一性保持権が著作者から他人Aに移って著作物が変えられ、その後他人Bに移ってまた変えられ、そして更に他人Cに移って、、となっていくと、最初の著作物のかたちは多分失われてしまうでしょう。

それは、著作物を創作するという人間の行為をおとしめることであり、創作をした著作者を侮辱するようなことであるといえます。

真摯に苦労して創作した著作物は、たとえ複製権が他人に移ったとしても、その他人が勝手につくり変えることはあってはならない。

著作権法は、著作者による著作物の「創作」に対して、最大の敬意を払っているのです。

法律の第1条にはその法律の目的が定められていることが多いです。著作権法の第1条の要点は次のとおりです。

 著作者の権利の保護を図って、文化の発展に役立てていく。

 

まずは、著作物を創作した著作者の権利を保護する。これが著作権法の最終目的(=文化の発展)を導きます。(著作権法第1条には、他の要点もありますが、それは後のブログで紹介します。)

同一性保持権という権利があるので、著作者は、自分が創ったものが他人によってつくり変えられることはないという安心感を得ます。著作者は安心して次々に著作物を創作して、その著作物についての複製権を他人に譲渡することができるのです。

 

したがって、著作権には、他人に譲渡できる複製権のような権利と、他人に譲渡できない同一性保持権のような権利がある、ということになります。

この区別はとても重要です。複製権のような譲渡できる権利は他にもありましたね。公衆送信権、二次的著作物を創作する権利、二次的著作物を利用する権利、展示権などでした。

他人に譲渡できない権利は同一性保持権の他にもあるのでしょうか。

 

著作権法は、他人に譲渡できない権利として、同一性保持権の他に、次の2つの権利を定めています。

 ○ 公表権   ~ 著作者が自分の著作物を公表するかしないかを自分で決められる権利

 ○ 氏名表示権 ~ 著作物を公表するときに、氏名を表示するかしないかを自分で決められる権利

         

そうすると、他人に譲渡できない権利、すなわち、著作者に固有の権利は、同一性保持権、公表権、氏名表示権の3つになります。

次回は、これまで出てきた幾つかの権利を分類して整理してみましょう。

 

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