0から始める著作権

  このブログでは著作権について解説していきます。

著作物をどのように利用するか(3)

前回、著作物を利用したい者が、どのように著作権者と利用許諾について交渉するかが重要な問題になると述べました。例えば、たまたま見かけたイラストが気に入って、自分のWebサイトやSNSに掲載したい場合に、そのイラストの著作権者を探し出し、具体的なライセンス契約にこぎつけるという作業が発生します。

しかし、この作業を個人で行うのは大変です。だからと言って、いきなり法律事務所などに駆け込んで相談するというのも難儀です。

 

このようなとき、著作物の利用について情報提供を行い、著作権者との仲介を行い、利用許諾を行なってくれる団体に相談するという手があります。その団体は、著作権を管理する団体であり、著作権者に代わって、著作物を利用する者からライセンス料を徴収します。

著作物にはいろいろな種類があるので、著作権管理団体も数多くあります。

以下に、著作物の種類ごとに、利用許諾を代行する著作権管理団体の幾つかを紹介します。

 

○ 音楽の著作物の利用

 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)

 

○ 小説・脚本の著作物(言語の著作物)の利用

 公益社団法人日本文藝家協会

 協同組合日本脚本家連盟

 協同組合日本シナリオ作家協会

 

○ 美術の著作物の利用

 一般社団法人日本美術家連盟(JAA)

 一般社団法人日本美術著作権協会(JASPAR)

 

これら以外にも著作権管理団体は多数あります。詳しくは、文化庁のWebサイトで紹介されています(「著作権等管理事業者」で検索)。

例えば、イラストの著作物の利用許諾については、上記の日本美術著作権協会のほか、日本ビジュアル著作権協会でも取り扱っています。

このような著作権管理団体を活用することによって、著作物を利用したい者(個人や法人)が、比較的簡単に著作物の利用許諾を得ることができます。著作物を利用したい者にとって、利用許諾の代行を行う著作権管理団体の存在は知っておいて損はありません。

 

ところで、そもそも著作物の著作権者が誰だかわからない場合はどうすればよいのでしょうか。また、誰だかわかったとしても、その人がどこにいるのかわからないという場合もあります。

このような場合に、著作権者から利用許諾を得る代わりに、文化庁の裁定制度を活用して、ライセンス料に相当する補償金を供託して著作物を利用することができます。実際に裁定を申請するには、著作権者の情報を自ら収集した事実や、(知り得た)著作権者に対して連絡を試みた事実を報告しなければなりません。

著作権者が不明な写真や曲などをどうしても利用したいというニーズがあるとき、このような裁定制度の存在を知っておくと得なこともあるでしょう。

 

次回もまた著作物の利用について考えていきましょう。

 

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