前回のブログで、著作物の自由利用について紹介しました。著作権者の許諾を得ないで著作物を自由に利用できる場合が、著作権法に幾つか定められているという話でした。
この著作物の自由利用は、著作物を利用する人の側に立ったものであり、とても重要なものです。詳しく見ていきましょう。
○ 私的使用のための複製
前回紹介した「私的使用のための複製」は、その自由利用に該当します。芸能人や動物の公式Webサイトに掲載されている写真をコピーして、自分のスマホの待ち受け画面に使うことができるという例を述べました。ほかの例としては、テレビ番組を自分が家庭内で見るために録画する、購入した書籍をコンビニのコピー機でコピーする、などなど多くあります。
自分が私的に使用するのであれば、何でも、どんな状況でも複製できる・・・これは素晴らしい、どんどん複製しよう!、と思ってしまいますが、少しだけ気をつけなければいけないことがあります。
⚠️ 公衆設置ダビング機器
誰でも使えるように設置されているダビング機器を用いて、音楽CDや映画BDなどを複製することはできません。
⚠️ コピーガード解除
コピーガードやコピープロテクションを解除して、無理やり音楽CDや映画BDなどを複製することはできません。
⚠️ 違法ダウンロード
違法にアップロードされている漫画や動画だと知りながら、それをダウンロードすることは厳重に禁止されています。
⚠️ 映画館での録音録画
映画館で上映中の映画を勝手に録音・録画することは、厳重に禁止されています(映画の盗撮の防止に関する法律)。
このように、私的使用ならば何でも、どんな状況でも複製できるという訳ではありません。でも、これらを注意すれば、著作物の私的利用は許されます。という意味では、上記の注意点は重要ですので、覚えておいて損はありません。
○ 写り込み
皆さんは、自分のブログやSNSに写真をアップロードする場合、その写真の中に他人の著作物が小さく写り込んでいるとき、その写り込みについて気になったことはありませんか。例えば、自宅の部屋で自分を撮影した写真の中に、たまたま壁に貼ってあったポスターが写り込んでいる、そのポスター(美術の著作物)は他人の著作物である。著作権者の許諾なくポスターを撮影しているので、アップロードは公衆送信権を侵害していることになる・・・ 心配になりますよね。
実は、このような写り込みは、本来の撮影対象(自分)ではなく、図らずも撮影されてしまった物であり、著作権者の利益を不当に害する物でもないので、自由に利用できます。
○ 検討過程
会社で、他人の著作物を利用するか、著作権者から許諾を得るかなどの検討をするときに、会議で使用するためにその著作物を複製することがあります。まだ許諾を得ていないのに複製しても大丈夫でしょうか・・・
このような検討過程における複製も、必要限度内であって著作権者の利益を不当に害することがなければ、自由に利用できます。
○ 情報解析
最近では、ビッグデータの情報解析が各所で盛んに行われています。そのデータには当然各種の著作物が含まれており、著作物が大量に複製されています。この大量複製は問題にはならないのでしょうか・・・
この場合の著作物の複製は、人にその著作物を見せるために行われるのではなく、情報解析のために行われるものであるから、自由に利用できます。
今回は、以下4つの「著作物を自由に利用できる場合」を紹介しました。
・私的使用のための複製
・写り込み
・検討過程
・情報解析
「著作物を自由に利用できる場合」は他にも沢山あります。
次回は、他の場合についてどんどん見ていきましょう。