前回は、同一性保持権、公表権、氏名表示権の3つを紹介しました。これらは、著作者が他人に譲渡できない権利、すなわち、著作者に固有の権利でした。
著作者に固有ですので、著作者が他界した場合にはこれらの権利は消滅します。また、著作者が会社などの法人であれば、その法人が解散した場合に消滅します。
ただし、著作者が他界した後でも、その著作者が創作した著作物を他人が世に示すときに、著作物の同一性を損ねるようなことはしてはなりません。また、例えば、もし著作者が生前に日記を非公表のものとして書いていたら、他人が勝手にその日記を公表してはいけませんし、ある俳人(著作者)が生前に俳句には必ず氏名を表示するように決めていたら、他人は俳人の氏名付きでその俳句を世に示さなくてはなりません。
このように、著作権法は、著作者が他界した後でも、あたかも著作者が生きているかのような権利、著作者の人格を尊重するような権利を3つ定めているのです。
実は、著作権法は、同一性保持権、公表権、氏名表示権の3つを「著作者人格権」として括っています。
「~人格権」っていい言葉ですよね。Wikipediaによると、人格権 = 個人の人格的権利を保護するための権利、とのこと。個人が創作したものを尊重する著作権法ならではの命名です。
そして、この著作者人格権と区別するために、複製権や公衆送信権などの他人に譲渡できる著作権を「著作財産権」ということがあります。
さあ、著作者人格権と著作財産権を区別して、まとめてみましょう!
○ 著作者人格権
・同一性保持権
・公表権
・氏名表示権
○ 著作財産権
・複製権
・上演権
・演奏権
・上映権
・公衆送信権
・口述権
・展示権
・頒布権
・譲渡権
・貸与権
・二次的著作物を創作する権利(翻訳権、翻案権等)
・二次的著作物を利用する権利
まとまりました。ここまで読んでくれた皆さんに、著作権の全貌をお見せできることができました。
次回からは、また違った視点で著作権について見ていきたいと思います。