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0から始める著作権

  このブログでは著作権について解説していきます。

著作権の種類には何があるのか(1)

前回までのブログで、「著作権を所有している人は誰か」と「著作権が発生する対象物は何か」について述べてきました。前者は「著作者」であり、後者は「著作物」でした。

「著作者」が、自分の「著作物」についてどんな権利を持っているのか。今日はそれについて考えてみましょう。

 

以前のブログで、夢の内容は、それを文章にして初めて著作物になるという話をしました。文章化されているので言語の著作物になり、言わばミニ小説のような物です。

貴方が自分が見た夢の内容をミニ小説にして、それをブログで公表したとします。読者の受けが良くて喜んでいたところ、後日、他のブログサイトでそのミニ小説と全く同じ内容の記事が掲載されていることを知ったとき、どのように感じるでしょうか。

 

自分と同じ夢を見た人がいると、素直に感激するでしょうか。でもその感激は束の間で、真似をされた、コピーをされた、との思いが頭をよぎり、モヤモヤするかもしれません。

それは当然のことであり、もし貴方がブロガーであってブログによって収入を得ているのであれば、経済的な不利益を被るかもしれず、何らかの対策を考えた方がよいでしょう。

仮に他のブログサイトの記事が本当に貴方のミニ小説を真似た物であって、貴方がそのミニ小説について、何らかの法的権利を持っていれば、法的手段で対向することができます・・・

さて、どうするか・・・ 

 

 

ここで、登場するのが、自分のミニ小説を自分だけがコピー(複製)できるという権利です。それは複製権といい、著作者である貴方の権利です。著作者である貴方は、ミニ小説(言語の著作物)について、それを自分だけが複製することができる、という複製権を持っているのです。(この例の場合、ブログでの掲載が問題になっているので、複製権以外の権利も関わってきますが、それは後のブログで述べます。)

この複製権のことを、著作権といいます。正確には、著作権の中に複製権が含まれています。

 

整理をしますと、次のようになります。

 

<著作者> <著作物> <著作権の種類>

  貴方  言語の著作物   複製権

 

誰が、何の著作物について、何の種類の著作権を持っているのか、の図式です。この図式が極めて重要です。

 

この複製権は、数ある著作権の種類の中でも最もメジャーな権利であり、言わば著作権の王様のようなものです。

著作権の英訳は「Copyright」ですが、文字通り解釈すると、コピー(copy)をする権利(right)という意味になります。

コピー(複製)をする権利は複製権ですから、「Copyright」は元々は複製権の意味(狭い意味の著作権)だったのでしょう。

(ちなみに、グーグル翻訳によると、複製権の英訳は「Reproduction right」となっています。)

 

さあ、いよいよ著作権ワールドへの入り口が開かれました。

上の重要な図式を頭に入れて、どんどん進んでいきましょう!

 

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著作権が発生する対象物は何か(6)

著作物について、今までいろいろ考えてきました。

ここでは、特殊な著作物について見ていきましょう。

 

○ 共同著作物

 貴方は、友人と一緒に漫才のネタを考えて、二人で漫才のシナリオを書いたとします。このシナリオは二人が共同して創作した物です。著作権法では、このような物を「共同創作物」としています。勿論、二人ではなく、三人以上の人が共同して創作した物も共同著作物です。

 

 

 

 

○ データベースの著作物

 昨今は、ビッグデータの管理や利用が重要になってきています。著作権法では、個々のデータをコンピュータによって検索できるように体系的に構成した物を「データベースの著作物」としています。ただし、データベースを構成するデータ自体は、単なる事実や数字ですので、著作物ではありません。

 

○ キャラクターの著作物

 ゆるキャラ、知ってますよね。各自治体で、様々なゆるキャラが活躍しています。皆さんの住んでいる地域かその近くにも、有名なゆるキャラがいるでしょう。ゆるキャラのようなキャラクターの絵は、美術作品ですので美術の著作物です。

 

○ メタバースの著作物

  メタバースは、すっかりメジャーになりました。コンピュータで実現される仮想空間であり、アバターと呼ばれる自分の分身を操作して仮想空間内を移動したり、リアル空間のように仕事や生活をすることができます。仮想空間内の物が著作物であるのか否か、各所で議論が行われています。

 ゆるキャラのようなリアル空間のキャラクターと同様に、メタバースに登場するアバターの絵も、美術の著作物になる可能性があります。

 

著作物の話はここで一区切りです。次回からは、いよいよ著作権とその種類について見ていきましょう!

 

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著作権が発生する対象物は何か(5)

著作権法では、著作物は創作的に表現した物であることと、文芸、学術、美術または音楽の範囲内であることが定められています。

そうすると、文芸、学術、美術または音楽の範囲外の物や、創作的に表現されていない物は著作物ではありません。

具体的には次のとおりです。

 

○ 文芸、学術、美術または音楽の範囲外の物

 

 「工業製品」~ 自動車やロボットなどの工業製品は、文芸、学術、美術または音楽の範囲外の物ですので、著作物ではありません。

 

 

○ 創作的に表現されていない物

 以下の例は、いずれも創作的に表現されていない物ですので、著作物ではありません。

 

 「時事報道ニュース」~ これは以前に紹介しました。ニュースは事実の伝達にすぎず、創作的に表現した物ではありません

 

 「民話」~ 浦島太郎や桃太郎のような民話は、誰でも知っているありふれた話ですので、創作的に表現した物ではありません。

 

 「複写」~ コピー機を用いて有名な絵を複写した場合、それは単なる機械的な複写であり、創作的に表現した物ではありません。

 

 「単なる画像」~ 自動的に撮影された衛星画像、監視カメラで撮影された映像などは、創作的に表現した物ではありません。

 

 「スポーツのルール」~ 皆がルールに基づいてスポーツをしている場合、ルール自体は創作的に表現した物ではありません。

 

 「ありふれた表現」~ 「こんにちは」など、誰でも知っているありふれた表現は、創作的に表現した物ではありません。

 

 「プログラム言語」~ 皆さんはプログラミングの経験があるでしょうか。最近ではPython(パイソン)というプログラミング言語が人気を博していますね。実は、プログラミング言語は、プログラムの表現手段にすぎず、創作的に表現した物ではありません。

 また、プログラミング言語をどう用いるかについての「規約(ルール)」や、プログラミングの「解法(アルゴリズム)」も、創作的に表現した物ではありません。

 

以上のとおり、著作物にならない物があるので、注意が必要です。

 

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著作権が発生する対象物は何か(4)

前々回に、夢を見た時点ではその夢の内容は著作物になっていない、自分の外側に文章にして初めて著作物になるという話をしました。

文章にした時というのは、文章という著作物を創作した時点です。この創作時点、すなわち、著作物をいつ創作したのかがとても重要になります。なぜならば、それを自分で把握していないと、著作物ではない状態から著作物になった状態への切り替わり時点が不明になってしまうからです。

ですので、作家の方などは、創作ノートを用意して、文章を書くときには日付を入れておく、という習慣を身に付けています。

 

 

 

 

著作物を創作した時点の他に、著作物を公表する時点も重要です。

というのは、貴方は、自分が見た夢の内容を文章(著作物)にした後に、その文章を秘密にしておくこともできるからです。

著作物を秘密にしておくか、公表するかは貴方自身が決めることができます。それは貴方の権利であり、後の「著作権の種類」において詳しく述べます。

したがって、著作物を考えるときには、

○ 著作物を創作した時点

○ 著作物を公表した時点

の2つの時点が重要になるのです。

 

------

 着想、思い付き

  ・・・著作物ではない状態

             ↓

○ 著作物を創作した時点 ↓

 (自分の外側に表現)  ↓

  ・・・著作物になった状態

     著作物が秘密の状態

             ↓

○ 著作物を公表した時点 ↓

 (発行や公衆に提示)  ↓

  ・著作物が秘密でない状態

------

 

著作物の創作時点と公表時点、この2つの時点は今後のキーワードになりますので、気に留めておきましょう!

 

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著作権が発生する対象物は何か(3)

前回、ニュースサイトの内容は編集著作物になると述べました。もう少し詳しく見てみましょう。

貴方はニュースサイトを見る機会が多いと思います。そのニュースサイトには、サイトのオリジナルキャラクターが登場していたり、華やかなイラストが添えてあったりしますよね。これらの個々のキャラクターやイラストは美術作品ですので、それ自体が著作物です。

つまり、全体としては編集著作物であり、それを構成する個々のパーツも著作物になっているのです(入れ子の関係)。

 

 

 

 

同じことがゲームについてもいえます。

最近では、スマホのゲームが主流になりつつあります。そのゲームのプログラムが著作物であることは、以前のブログで述べました。

ゲームにも、様々なキャラクターが出てきます。このキャラクターの絵は美術作品ですので、それ自体が著作物です。

そして、RPGゲームでは、キャラクターが動いて演じることによって映画のような視覚効果が生まれます。この視覚効果を持つゲームの内容は、映画の効果に類似するので映画の著作物に含まれます。

ですので、ゲームには、ブログラムの著作物、美術の著作物、映画の著作物の3つが絡み合っているのです。

 

このように、著作物同士が入れ子の関係になっている場合や、複数の著作物が絡み合っている場合があるので、個々の著作物やそれらの組み合わせについて、見極めることが重要になります。

 

次回も、著作物について、考えていきましょう。

 

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著作権が発生する対象物は何か(2)

前回は、著作権が発生する対象物(著作物)について、いろいろ紹介しました。

 

そもそも、どういう物が著作物になり得るのでしょうか。

例えば、今流れている時事報道ニュースの内容は著作物なのでしょうか? 景勝地での開花を告げるニュースは、旅行を考えている方にとっては貴重なものであり、そのニュースは著作物として取り扱われるべきかもしれません。

また、貴方が今朝起きる直前に見た夢の内容は、貴方のオリジナルであって貴重なものであり、夢を見た時点でその夢の内容は著作物になっているのかもしれません。

 

 

実は、上に挙げた2つの例、ニュースや夢の内容は、いずれも著作物ではありません。

 

時事報道ニュースや開花を告げるニュースは事実の伝達にすぎず、創作的に表現した物ではないので、著作物ではないのです。

一方、スマホで見るニュースサイトの内容は、著作物になります。ニュースサイトの中には、記事のレイアウトや文字・色などが見やすく配置されていて、創作性がある物が多いからです。

このようなニュースサイトの内容は、編集著作物といいます。

つまり、個々の時事ネタ(事実)は著作物ではありませんが、それを選択して上手くレイアウトした物は編集著作物になる、ということです。

 

今朝見た夢の内容はどうでしょうか。

著作権法では、著作物について、思想または感情を創作的に表現したもの、と定めています。「表現」という語が重要であり、何らかの形で自分の外に表現された物が著作物になります。

貴方が夢の内容を文章に書き留めたとき、その書いた物(文章)が著作物になるのです。この場合は文章ですので、言語の著作物になります。

ですので、夢を見た時点では、その夢の内容が著作物になっている、とはいえないのです。

 

次回も、著作物について、更に詳しく見ていきましょう。

 

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著作権が発生する対象物は何か(1)

実は、貴方の身の回りには、著作権が発生する物で満ち満ちています。

前回映画の話をしました。映画は、著作権が発生する対象物です。

小説や音楽もそうです。貴方がスマホを使って読んでいる小説は、著作権が発生する対象物ですし、イヤホンで聴いている音楽もそうです。

 

電車の中を見渡すと、スマホを使って何かの文章を読んだり、イヤホンで曲を聴いていたり、ゲームをしている人が多いですよね。ゲームのプログラムも著作権が発生する対象物です。

そうすると、電車の中で、多くの人たちが、著作権が発生する何らかの物に触れていることになります。

そうです、今貴方が読んでくれている、このブログの文章も著作権が発生する対象物なんです。

 

 

著作権が発生する対象物、それを著作物といいます。

著作物は、著作権法で細かく列記されています。

①映画、②小説などの言語、③音楽、④プログラム以外に、次のようなものが著作物として挙げられています。

 

・舞踏(ダンス)や無言劇(パントマイム)

・絵画、彫刻などの美術作品

・建築物

・地図、図面などの図形

・写真

 

ここで、少し気になることがあります。

今貴方が読んでいる小説が翻訳された物で、著者がフランス人の場合、その翻訳はフランス語で書かれた元の小説と同じ著作物なのか、という問題です。

編曲の場合もそうです。今貴方が聴いている曲が編曲された物で、元の作曲家がいる場合、その編曲は元の曲と同じ著作物なのでしょうか。

 

著作権法では、翻訳された物、編曲された物などを、二次的著作物として、元の著作物と区別しています。

著作物には、大きく分けて、著作物と二次的著作物の2種類がある。この区別はとても重要です。

 

身の回りに沢山ある著作物と二次的著作物・・・ 今日貴方は幾つ触れるでしょうか。

次回も著作物について、詳しく見ていきましょう。