2024-01-01から1年間の記事一覧
前回は、仮想空間の未来形には無限の可能性がある、その仮想空間を構成するものが「著作物」である、という話をしました。 今まで以上に「著作物」がクローズアップされる社会、仮想空間が商空間になる社会、その入り口に私たちは立っているのです。 数年後…
前回は、メタバースという仮想空間内の商品を例にあげて、仮想空間内の商品(架空の商品、著作物)を選択するのは、現実世界における自分が優越感、満足感、幸福感を得るためであって、仮想空間内のアバター(自分の分身)が満足するためではないという話を…
前回まで、「情報の大航海時代」における著作権の問題について述べてきました。15世紀から17世紀までの大航海時代が世界史を一変させたように、現在発展途上にあるインターネット世界やメタバース空間は著作物の創作や流通の環境を大きく変えていく、そ…
前回、メタバース空間などに存在する著作物に焦点を合わせると、著作権情報がポップアップで表示されて、その著作物を利用して二次創作をした瞬間に著作権者に何らかの報酬が与えられる仕組みの可能性の話をしました。 ここで重要になってくるのは、その著作…
前回は、研究者が書く論文において、先人の知の系譜を参考文献として掲載する例を紹介しました。良い論文であれば、追従する多くの研究者たちによってそれが参照され、彼らが書く論文の中でそれが参考文献として掲載されることになります。つまり、後続する…
前回は、オープンソースの例を示してソフトウェア開発における二次的著作物の創作の連鎖と、開発者に対して報酬を支払う仕組みの必要性について述べました。 創作の連鎖について、他の例を見てみましょう。 学術研究において、研究者は論文として成果を世に…
前回は、二次的著作物の創作に当たって創作者自身が著作権に関する知識を身に付けて環境改善を図るべきという話をしました。 実際にそのような環境改善が提起された有名な例としては、ソフトウェア開発の分野におけるオープンソースの推進が挙げられます。 …
前回は、二次創作を生み出す時に元の著作者に報酬を与えると興るであろう好循環のサイクルと、そのための著作権情報の提供、著作物の評価、著作物の使用料の重要性について話をしました。今回は、著作権情報や著作物の評価について、具体的な例を挙げながら…
前回は、二次創作の元の著作者に何らの経済的報酬を与えてよいのでは、という話をしました。果たして、元の著作者の情報はどのように知ることができるのでしょうか。 食品の世界では、トレーサビリティが普及しつつあり、食品の生産者、生産日、生産方法など…
前回は、情報が情報を生み出すことについて述べました。今回は、その具体的な事例を見ていきましょう。 皆さんは、ネット小説という言葉を耳にしたことがあると思います。オンライン小説とも呼ばれます。インターネット上で小説を発表して、有名になって、そ…
前回、高度化し複雑化するIT社会・ネットワーク社会における、情報とその権利の問題について述べました。 そもそも、IT社会・ネットワーク社会における情報とはどのようなものでしょうか。例えば、ネット上には様々なサイトやサービスがあり、そこには色々な…
大航海時代と聞いて、皆さんはどのようなイメージを抱くでしょうか。 1400年代から1600年代にかけて、ポルトガルとスペインなどが競って新航路を開拓し、結果として新大陸の発見や地球一周が達成されました。当初はアジアの香辛料(胡椒など)を求めて新航路…
前回まで、著作者を取り巻く権利である著作隣接権について見てきました。いろいろな種類があったので、ここでまとめてみましょう。 著作隣接権は、著作物を皆に伝える役割を持っている、 ①実演家、 ②レコード製作者、 ③放送事業者、 ④有線放送事業者 に認め…
前回は、レコード製作者の著作隣接権を紹介しました。 レコード製作者にも、実演家の方々と同様に著作隣接権が与えられていましたね。レコード製作者も、音楽の著作物を皆に伝えてくれる存在であり、著作物を皆に伝える著作隣接権がレコード製作者に認められ…
前回は、実演家に認められている著作隣接権を紹介しました。 演奏家・歌手・指揮者・俳優・演出家のような実演家の方々は、著作物を皆に伝える人たちであり、その人たちに与えられる権利が著作隣接権でした。自分の実演を録音・録画する権利や、インターネッ…
前回は、著作物の実演を行う実演家に対して認められる権利である著作隣接権を紹介しました。この著作隣接権は、具体的にはどのようなものなのでしょうか。 以前、著作者に対して認められる権利として、「著作財産権」の話をしました。「著作財産権」には複製…
前回は、著作者を取り巻く権利として、作家を取り巻く権利である出版権を紹介しました。 作家は、通常は自分一人では本を出版できませんので、出版会社や電子出版会社に出版や発信を依頼します。言語の著作物の複製権や公衆送信権を持つ著作権者(作家等)が…
前回まで、著作物をどのように利用するかという利用者側の視点に立って、著作権について考えてきました。 今回からは、軸足を著作者に戻し、著作者を取り巻く様々な権利について見ていきましょう。 まずは「出版権」です。出版権は、作家が生み出すような言…
前回は、著作物の引用について詳しく紹介しました。報道、批評、研究などの目的で、一定のルールを満たせば自由に引用できることがわかりました。 でも、ここで重要なことがあります。その引用が、引用される著作物の著作者の著作者人格権を侵害してはいけな…
前回まで、「著作物の自由利用」ができる場面について見てきました。私的な場、公共の場、教育の場、政治・三権、コンピュータ関係、という傾向が見られましたね。 ところで、この傾向には当てはまらない「著作物の自由利用」の場面として重要なものがありま…
前回は、様々な「著作物の自由利用」について紹介しました。他の場合も見てみましょう。 ○ 視覚障害者のための複製等 公表された著作物は、点字によって複製することができます。そして、コンピュータを用いて点字を処理して、公衆送信を行うこともできます…
著作物を利用する人の側に立った「著作物の自由利用」には、ほかにも色々あります。今日は主なものを紹介します。 ○ 図書館での複製 図書館には通常コピー機が設置されています。図書館内の本については、著作権者の許諾を得ないでコピー(複製)することが…
前回のブログで、著作物の自由利用について紹介しました。著作権者の許諾を得ないで著作物を自由に利用できる場合が、著作権法に幾つか定められているという話でした。 この著作物の自由利用は、著作物を利用する人の側に立ったものであり、とても重要なもの…
前回まで、著作物を利用するときに、著作権者の許諾を得ることを考えてきました。著作権管理団体を活用することによって、比較的簡単に著作物の利用許諾を得ることができるという話もしました。 ところで、著作物を利用するに当たって、必ず著作権者の許諾を…
前回、著作物を利用したい者が、どのように著作権者と利用許諾について交渉するかが重要な問題になると述べました。例えば、たまたま見かけたイラストが気に入って、自分のWebサイトやSNSに掲載したい場合に、そのイラストの著作権者を探し出し、具体的なラ…
前回は、著作物の利用の許諾の話をしました。著作物を利用することについて、著作権者に有償で認めてもらう、という話でした。 この許諾は、著作物を利用したい人と、著作権者との間の契約です。この場合の契約はライセンス契約になります。ライセンスという…
前回まで、著作権には様々な種類があることを見てきました。そして、著作権は、著作者人格権と著作財産権に大きく分かれ、後者は他人に譲渡できることを知りました。 著作財産権を所有している人は、元々は著作物を創作した個人や法人(著作者)ですが、著作…
前回は、同一性保持権、公表権、氏名表示権の3つを紹介しました。これらは、著作者が他人に譲渡できない権利、すなわち、著作者に固有の権利でした。 著作者に固有ですので、著作者が他界した場合にはこれらの権利は消滅します。また、著作者が会社などの法…
前回は同一性保持権の話をしました。著作物の内容やタイトルが著作者の許可なしに他人が勝手に変えられないという権利でしたね。 この同一性保持権も他人に譲渡できるのでしょうか。 実は、著作権法は、同一性保持権は他人に譲渡できないと定めています。こ…
前回では、複製権などの著作権が、他人に譲渡することができるという話をしました。複製権などの著作権が、譲渡可能な権利である、すなわち、財産のような性格を持っているという話でした。 ところで、小説家などの著作者が、自分が創作した物を他人に譲渡し…